最適な作業をする「現場力」。
班長・新入社員教育指導員
2005年新卒入社/高校 機械科卒
※インタビュー内容は取材当時のものであり、
一部現在の部署業務とは異なる場合があります。
求められることを満たすだけでなく
「手を一つ、加える」こだわりを。
突発的なトラブルをスムーズに修理し、安定稼働にする――。加古川製鉄所構内の各工場で、現場常駐のメンテナンス班が不在の時に何かが起きたら…、三好班の出番です。班長の私にとって何よりも大事なのは、補佐役の作業リーダーや若い班員、みんなの安全。そこから作業工程の流れを考えていきますが、班長になってその大変さと責任の大きさを実感しています。各班の班長は一人ひとりが個性豊かで、仕事の進め方も人の育て方も、それぞれに異なる「班カラー」が滲み出ています。私の班は「満足せず、いつも向上心」がモットー。鋼板を加工する工場で、滑りやすく危険になった階段を溶接補修した時は、腐食した手すりや作業フロアのペイントも塗り直しました。工事仕様書にはない作業で、班員が「必要なんですか?」と聞いてきましたが、「気になるから、やろう!」と。お客様や現場に求められることを満たすだけでなく、自分がその現場で働くなら何をしてほしいかを考えて、「手を一つ、加える」ことを心がけています。その結果として喜んでもらえたら、嬉しさもやりがいも倍増しますから。みんなでワイワイ言い合いながら、一人ひとりが自分なりの楽しさを見つける雰囲気づくりも、大事にしています。しんどくて決して楽ではないと思う現場でも、楽しむことができる。そんな姿も、班のカラーの一つだと思っています。
任された現場で技術と感覚を磨く
現場力の醍醐味。
鉄工の溶接・溶断技術を追求して15年、いまも忘れない記憶に残るシーンがあります。入社直後の工場見学で見た、現場に寝転がって溶接する姿です。その時はまだ「鉄工って、どんな仕事?」と現場を知らないので正直、驚きました。「こんなことも、するんだ」と。ローラー搬送する鋼板が擦れて摩耗した生産ラインの補修で、今は「あの現場には、最適な姿勢だったんだな」と分かります。同じ現場は2つとなく毎回、作業環境が違うので、それに合わせて作業する姿勢も変えていく。自分が任された現場シーンで、どんな条件で作業すれば、適正に綺麗にできるか。仰向けになるのも自由ですし、すべては自分に任されている。「現場力の醍醐味」と言うんでしょうか。溶接機の電流も自分の感覚で調整します。念のために電流計でも測定しますが、あくまで感覚の正しさを計器で確かめる感じですね。そんな現場力を身に着けるチャンスになったのが、国家資格よりも審査範囲が広くて厳しい、社内の技術技能競技大会です。仕事中に練習する時間をもらえますし、できなかったことにも挑戦できます。溶接や鉄工・仕上・組立など計4部門で賞を受賞し、自信にもつながりました。技術と感覚に磨きをかけて、入社4年目に初めてお客様に「すごくきれいな溶接ですね」と褒められた時は、本当に嬉しかったですね。班のみんなやすべての後輩にも、ぜひ、そんな瞬間を味わってほしいと思います。
正解を求めず「自分で考える」を大事に。
「令和の班長も凄い」と言われる仕事を。
2018年度は次代の現場を担う新入社員の教育指導員をつとめました。本社で2週間の集合研修を終えた後、さらに半年かけて専門分野別の技術・知識を修得する、基礎技能系研修の講師役です。安全ルールから道具の名前や使い方、溶接のつなぎ方まで。これほど手厚く丁寧に、しっかりと基礎を身に着けてから現場に送り出す新人研修は、なかなかないんじゃないでしょうか。現場力に磨きをかける出発点ですし、私自身も基本を再確認するいい機会になっています。会社全体が今、若手の育成にとても力を入れているので、やりがいも大きいですね。間近に接して感じる新人の良いところは、素直な人が多く理解が早いこと。ただ、期待を込めて厳しく言うなら、すぐに正解を求めようとせずに、まず自分で考えてみてほしいですね。自分なりに導き出していくプロセスが、仕事では大事です。すべての現場に合う、ただ一つの正解はありませんから。そう言う私もまだ、「完璧だ!」と思える答えを出したことは一度もないですね。新人の頃に「すごいなあ!」と憧れた先輩に少しは近づけたけど、まだ追い抜けてはいないなと。現場で補修作業をしていると、過去の班長たちの仕事ぶりが見えてきます。「令和の班長は、こう考えてやっていたんだ。さすがに綺麗で、すごいな」。そう思われる仕事を、これから育つ若手と一緒に残してきたいですね。
何よりも、大好きな機械に毎日ふれることができるところが魅力でした。就職したら一生働き続けたいと思っていましたし、同じようなルーティン作業じゃないことも私に向いていたと、実感しています。毎日違うことをやるのは楽しいですし、成長を実感しながら技術を追求できますから。それに、資本金が高く社員も多くて、神戸製鋼グループの一員で定年まで倒産する心配がないということも、大きかったですね。結婚して家庭を築いた今、充実した福利厚生制度も気に入っています。幼稚園に通う子どもの入園式や運動会など、家族の大事なイベントは休暇をちゃんと取得して、すべて参加しています。これからも、子どもの成長の舞台に立ち会えるのが楽しみですね。
このままずっと、うまくなっていくんじゃないか--。溶接作業をしていて、そう感じる時ですね。やればやるほど技術が磨かれていくのが、分かるんですよ。 一番分かりやすいのは、見た目の綺麗さですね。表面や厚みが揃ってつながっていて、まるで機械で溶接したみたいに仕上がった時の手応えは格別ですね。 技術と感覚は磨けば磨くほど「終わりのない、壮大な挑戦」ということも、この仕事の面白さでしょうね。どんなに難しい現場でも、「何とかなる」「何とかする」といつも思っています。 先輩や同期、班のみんなと切磋琢磨して、いつの日か、100点満点だと実感できる仕事をやり遂げてみたいですね。 ここまできたなら、もっとうまくなれるし、きっと辿り着ける。自分にそう言い聞かせながら、これからも挑戦し続けていきます。